ポイント2は、「序」第一段の最後の「古(いにしへ)を稽(かむが)へて風猷(ふういう)を既に頽(すた)れたるに繩(ただ)し、今に照らして典教(てんけう)を絶えむとするに補はずといふことなし」と結ばれている部分です。
古事記全訳注(次田真幸・講談社学術文庫)では
「古代のことを明らかにして、風教道徳のすでに衰えているのを正し、現今の姿を顧みて、人道道徳の絶えようとするのに参考にならぬものはない」
と訳していますが、これでは読み下し文と余り変わらず、よく分かりません。
現代語古事記(竹田恒泰・学研)では
「古を顧み、すでに衰えた道徳を正そうとされ、また、今を照らして、絶えようとする正しい規範と教えを補おうとされ、これらを厭うことはありませんでした」
と訳しており、何となく分かるような気がします。
もっと分かり易く意訳すれば「過去をきちんと調べ、人としての正しい生き方が失われていることを正そう。そして、現状をよく見て反省し、人の守るべきルールが消えかけている状態を改善しよう」となるのではないでしょうか。
要するに、世の中が乱れて収拾がつかず、何とかしなければならない状態だったということです。
…つづく