「序」の第二段、ここに古事記編纂の理由が書かれています。
天武天皇の言葉として書かれている部分です。
「諸家に伝わる天皇の事績を記したもの(帝記)や伝承(本辞)は、真実と異なっていたり偽りが加えられているものがはなはだ多いと聞く。今きちんとしておかなければ、いずれ正しい史実が失われてしまうであろう。それらは国家組織の原理であり天皇統治の基本となるものである。故にそれらを調べ直し、偽りを削除し正しいものを選別して、後世に伝えようと思う」
要するに、全国各地にある諸説を一本化しようということです。
それには「偽りを削除」し「正しいものを残す」作業が伴うのですが、その判断基準は編纂させる側つまり天皇の命を受けた者が持つということです。
或る地域に真実を伝える伝承が残っていたとしても、編者が不都合と考えれば、削除されたり内容が変更されたりしたかもしれません。
とは言っても、各地の部族が知っていることを極端に変えることはできなかったはずです。最も変えにくかったのが、「場所」だったはずです。誰もが「A地」であったと知っている史実を「B地」に書き換えることはできなかったでしょう。
「序」二段の続きは次回
つづく・・・