古人(いにしえびと)は、天災を語り継いでいた
「白鳳地震」当時の日本は、野生溢れる建国段階でした。
今日と明日しか考えない時代ですから、『無常観』など存在してはいなかったはずです。
たとえ文学的記述ができる人物がいたとしても、鴨長明のような表現はしなかったでしょう。
古人(いにしえびと)は、平安時代の上層階級や現代人が失っている『民族のたくましさ』を持っていたはずだからです。
常識的に考えて、日本書紀が書かれる以前にも大地震は発生していたはずです。
日本列島に我々の祖先が住んでいた最古の時期として証明されているのは、4万~3万5千年前だそうです。
2千年単位でとんでもない大地震が発生していたとすると、列島に住む者は20回近くは経験していることになります。
大地震が発生すれば、大地には亀裂が走り山が崩壊したでしょう。
集落も壊滅状態になり、多くの死者が出たはずです。
祖先達は、そのたびに失ったものを嘆き悲しんだのでしょうか?
私は、そうではないと考えています。
古人(いにしえびと)達にとって、自然は絶対的な力を持つものでした。
また、ヒトや動物の「死」は日々の生活の一部だったはずです。
ですから、嘆き悲しむより、天災による被害の少ない場所を探したのではないでしょうか。
当時は文字はなく言葉が唯一の伝達手段ですので、伝えるべきことは口伝として語り継がれていたはずです。
万年単位の経験による口伝により、彼らは被害の少ない場所を知っていたのではないでしょうか。
・・・つづく