このあと五組の男女一対の神が現れますが、『身を隠したまひき』との説明はありません。
ということは姿形が見えたということになります。
名前を書くとややこしいので一対を(三番)、(四番)、(五番)、(六番)と番号にしておきます。
そして最後に、
(七番)伊邪那岐神(いざなきのかみ)・
伊邪那美神(いざなみのかみ)
が現れます。
この二柱の神が日本列島を生み(国生み)・そこに存在するあらゆる物の祖神を生む(神生み)ことになります。
最初の五柱の神を特別扱いにしたように(一)国之常立神から(七番)伊邪那岐神・伊邪那美神までを「神代七代(かみよななよ)」と、またもや別枠でくくっています。
古事記を読み進めば分かるのですが、以上の神々の直系の神が「天つ神族」で、それ以外は「国つ神族」との分類になります。
古事記が編纂された目的のひとつに、「天皇家や豪族の出自をきちんとしておこう」ということが「序」に明記してあることは既に述べました。
ですから冒頭で、「別天つ神」と「神代七代」の神々がこれ以後に現れる神とは全く異なることを明確にしておき、各部族の祖神がどこまで遡れるかで地位を決めようとの狙いがあったのではないでしょうか。
ですがその目的であれば「別天つ神」「神代七代」に分けた意味が分かりません。
「別天つ神」のくくりに関しては、何となく「スーパー神様」という感じで納得(無理に)することはできたのですが、「神代七代」のくくりの意味が分らないのです。
地位を決めるだけなら、ここまでをひとくくりとしてもよかったのではないでしょうか。
二つに分けたのにはそれなりの理由があったはずですが、これまで納得の行く説明に触れていません。
目下の所「大きな謎」なのです。
…つづく