―「神話部分」を読む ― 寄り道 ③
前回に続き『旧約聖書』「創世記」の始まりの「天地の創造」部分を読んでいきます。
神は言われた。
「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。天の大空に光る物があって、地を照らせ」
そのようになった。
神は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。
神はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。
神はこれを見て、良しとされた。
(太陽・月・星も神が造っています。古事記にはそのような発想はありません)
夕べがあり、朝があった。第四の日である。
神は言われた。
「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面(おもて)を飛べ」
神は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。
神はこれを見て、良しとされた。
神はそれらのものを祝福して言われた。
「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ」
夕べがあり、朝があった。第五の日である。
(動物も神が造っています。古事記にはそのような発想はありません)
神は言われた。
「地はそれぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ」
そのようになった。
神はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。
神はこれを見て、良しとされた。
神は言われた。
「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう」
神は御自分にかたどって人を創造された。
神にかたどって創造された。
男と女に創造された。
神は彼らを祝福して言われた。
「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物すべてを支配せよ」
神は言われた。
「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう」
そのようになった。
神はお造りになったすべてのものを御覧になった。
見よ、それは極めて良かった。
夕べがあり、朝があった。第六の日である。
天地万物は完成された。
第七の日に、神は御自分の仕事を完成され、第七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。
この日に神はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を神は祝福し、聖別された。
これが天地創造の由来である。
主なる神が地と天を造られたとき、地上にはまだ野の木も、野の草も生えていなかった。主なる神が地上に雨をお送りにならなかったからである。
また土を耕す人もいなかった。
しかし、水が地下から湧き出て、土の面(おもて)をすべて潤した。
主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。
主なる神は、東の方のエデンに園を設け、自ら形づくった人をそこに置かれた。
主なる神は、見るからに好ましく、食べるに良いものをもたらすあらゆる木を地に生えいでさせ、また園の中央には、命の木と善悪の知識の木を生えいでさせられた。
(神は最後に人間を作り、人間に植物や動物を支配させます。つまり人間を神が造った世界の最上に位置づけたのです。古事記は人間と動植物の間に支配・被支配の関係を造るなどという発想はありません。動植物は自然界のものとの発想です)
・・・つづく