八上比売(やがみひめ)
古事記では、因幡の白兎に登場する姫ですが、姫というからにはその父親が有力者だったはずです。因幡地方を調べたところ、彼女の父親の地と伝えられる「安蔵(あぞう)谷」という地域がありました。ヤガミ姫は、安蔵の娘のようです。
単なる神話としてではなく歴史物語として古事記を読みますと、因幡地方と出雲地方が対等に扱われていることに気付きます。出雲の若者達が数日の旅をしてまで因幡の姫の婿選びに応じているのです。
姫の婿とは、トップの後継者含みを意味します。高天原がいかなる手段を講じても手に入れようとした魅力の地に住む出雲の若者が、僻地のしょぼくれた地域のトップを望むはずはありません。つまり当時の因幡地方には、出雲が対等に付き合うレベルの権力者がいたのです。
ヤガミ姫の婿=後継者のポジションは、オオナムヂを殺したいほど羨ましいものだったと考えられます。彼女は大国主の子供を産んだあと里に帰り、再婚した形跡がありません。因幡の女王として君臨したのではないでしょうか。
『古事記外伝―イズモ・クロニクル―』では、頭の切れる積極的女性として登場させています。
呼び覚ませ、熱き魂!これぞ日本の原点!!
山陰の地に今も残る古事記の舞台。現地を訪ね歩き、古老が語る伝承を丹念に拾い集めて紡ぎ出された壮大なストーリー。
憂国の現代日本に一石を投じる、古事記おじさん渾身の一冊!
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