スサノヲの次は大国主(おおくにぬし)のお話が、唐突に始まります。
最初は「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」。これは、出雲の若者たちが因幡(いなば)のヤガミ姫との集団見合いに出かけるお話です。
そのメンバーに大国主(その時の名前はオオナムチ)もいたのですが、彼は皆の荷物を持たされ、ひとり遅れてついていきます。
先を進む連中が怪我をした兎(うさぎ)を見つけ、ウソの治療法を教えます。
言われた通りにした兎の怪我はひどくなり、兎は泣いて苦しんでいました。
そこに遅れてきたオオナムチが通りかかり、正しい治療法を教えます。
感謝した兎は「あなたがヤガミ姫に選ばれる」と預言するのです。
この兎を祀ったのが白兎(はくと)神社、ヤガミ姫が亡くなった場所と伝えられるのが売沼(めぬま)神社です。
白兎(はくと)神社
鳥取県鳥取市白兎
売沼(めぬま)神社
鳥取県鳥取市河原町曳田
そして、兎の言ったとおり、オオナムチが婚約しました。
馬鹿にしていた荷物持ちが選ばれるなんて、他の連中は頭に来て、オオナムチ殺害を企てます。
古事記には、伯耆(ほうき)の手間(てま)の山のふもとでそれが実行されたとあります。
その現場が鳥取県南部町手間(なんぶちょうてま)にある赤猪岩(あかいいわ)神社です。
「赤猪(あかいのしし)がこの山にいる。俺たちが山から追い出すから、お前は待ち伏せて
捕まえろ。失敗したら、殺す!」とオオナムチを脅迫します。
実は赤猪というのは真っ赤なウソで、真っ赤に焼いた大岩を転がし落とし、それを捕まえたオオナムチは、全身に大やけどを負って死んでしまいます。嘆き悲しんだ母親は高天原(たかまがはら)の神さまに助けてとお願いし、神さまが派遣した二人の娘が、赤貝の殻を削った粉と蛤(はまぐり)の汁を塗って治療したら、なんと、生き返っちゃったのでした。
赤猪岩(あかいいわ)神社
鳥取県西伯郡南部町手間寺内
元気になったオオナムチを、さらなる悲劇が襲います。
例の奴らに、今度は木の割れ目にはさまれて殺されてしまうのです。
今度こそダメか、と思いきや、またまたお母さんが出てきて、さっさと生き返らせます。
なんか、すごい生命力というか回復力。
いや、すごいのはお母さんか。
この二度目の殺害場所との言い伝えがあるのが、大石見(おおいわみ)神社です。
大石見(おおいわみ)神社
鳥取県日野郡日南町上石見
例の奴らがあまりにもしつこいので、母親はオオナムチを逃がします。
そしてスサノヲのところが一番いいだろうということになり、オオナムチはスサノヲの根の堅州国(ねのかたすくに)へとやって来るのです。
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